竹中半兵衛(その一生)①(→掲載ページ)から続く。
■ 三木城主、別所長冶の謀反 天正5年(1577年)、織田信長の命をうけて中国攻略に乗り出した秀吉は、半兵衛、官兵衛を幕下に加え、福原城、上月城を落とした。播磨諸将の信長随順をもうけて、秀吉の中国攻略は順調に進むかに見えた。
しかし、天正6年(1578年)、突如、三木城主、別所長冶が謀反を起こし、事態は急変する。
別所長冶は、毛利に逃げ込んでいた足利義昭の誘いを受け、当時、織田信長に敵対し抗戦していた毛利輝元、石山本願寺との連携を図ろうとしたのである。
この別所長冶の謀反に播磨の諸将は同調した。百姓上がりの秀吉風情の風下にたてるかというわけである。
官兵衛の主君、小寺政職もこれらの動きに同調した。
(三木城跡地別所長冶像)
半兵衛と官兵衛は、播磨諸将に対する調略戦を展開した。半兵衛は、この時期、備前国八幡山城(岡山県赤磐市)の城主を味方に引き入れることに成功し、信長から銀子100枚を与えられている。
備前といえば、毛利に組している宇喜多直家の支配下にある。宇喜多直家は世に名高い謀将である。その足下の領主を凋落するというのは半兵衛ならではと評価されたのであろう。
■ 三木城の兵糧攻め
別所長冶の居城、三木城攻めにおいて、秀吉は兵糧攻めを行った。三木城に味方する諸城をひとつづつ落とし、三木城に通じる兵糧搬入のルートを遮断する。さらに三木城のまわりに付城(砦のようなもの)を構築して、外部からの進入を遮断したのである。いわゆる「三木の干殺し」である。
当然、半兵衛もこの戦いに参戦していたが、労咳に侵されていた半兵衛は、この頃から死期を悟るようになった。労咳は当時、不治の病である。やってくるものは死しかない。
■ 荒木村重の反乱
兵糧攻めは長期戦である。じっくり腰を据えて臨まなければならない。こうして別所長冶と秀吉が対峙に入ったとき、驚天動地の事態が起こる。摂津国主、荒木村重が反乱を起こしたのである。
荒木村重といえば、摂津30数万石の領主である。織田家中にあっても、いまや重きをなす武将の一人となっていた。
なぜ村重が謀反をおこしたのかについてはここに書かないが(→別ページ参照)、旧来から村重と親交のあった官兵衛は、村重の立てこもる有岡城に、単身、説得に乗り込んだ。しかし、官兵衛の説得は失敗。官兵衛は土牢に幽閉されることになる。
三木城を攻める秀吉や半兵衛は、有岡城に単身乗り込んだ官兵衛の消息をまったくつかむことはできなかった。秀吉の心の中に官兵衛が寝返ったのではないかとの疑惑が広がる。しかし、半兵衛は官兵衛が裏切るような男ではないことを信じていた。
■ 官兵衛の子、松寿丸の命
官兵衛の不明に業を煮やした信長は、官兵衛が信長を裏切ったものと断定した、みせしめに、秀吉に人質として預かっている、官兵衛の1子、松寿丸を殺せと命じらのである。
秀吉は官兵衛を信用すること半分、疑惑半分の中で懊悩する。しかし、信長の命令は絶対である。殺すしかない。
このことを打ち明けられた半兵衛は、松寿丸の殺害を半兵衛に命じるよう進言。殺害したとみせかけて半兵衛自身が松寿丸をかくまったのだった。あくまでも半兵衛は官兵衛の信義を信じとおしたのである。
このあたりは、来年の大河ドラマ「軍師 官兵衛」で、間違いなくクライマックスを構成することになるだろう。
■ 半兵衛の死
天正7年(1579年)6月、陣中において労咳により半兵衛死去。享年36歳だった。半兵衛の死去から4ヶ月後、ついに有岡城は落城し、約1年間の幽閉のときを経て、官兵衛は救出されることになるが、そのときはもう陣中に半兵衛の姿を見ることはできなかったのである。
ここで、簡単に半兵衛の生涯を振り返っておこう。
半兵衛の生涯天文13年(1544年) | 美濃片山に生まれる。父、重元、母、杉山久左衛門の娘 |
弘冶2年(1556年) | 重元の留守に、不破光次が菩提山城に来襲。これを撃破する。 |
永禄7年(1564年) | 妻の父、安藤守就と謀り、主君、斉藤龍興の稲葉城を奪取。 |
元亀元年(1570年) | 信長につかえ、秀吉の与力となる。 |
天正元年(1573年) | 浅井長政の小谷城攻略。お市の方、母子を助ける。 |
天正2年(1574年) | 秀吉の長浜城築城に際し、城下の整備や経営について献策する。 |
天正5年(1577年) | 上月城合戦にて、黒田官兵衛とともに活躍をみせる |
天正7年(1579年) | 三木城攻囲中に病没。享年36. |
(晋遊舎歴史探訪シリーズ 黒田官兵衛から抜粋)
(竹中半兵衛(その一生)③に続く)
官兵衛のすべてを知ろう。
秀吉を天下人に押し上げた稀代の軍師 黒田官兵衛。そのすべてが詰まった本です。
hReview by 田中かわず , 2013/08/24
(→より詳しくはこちらのページ参照)
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